|
ダブルクリック(''Double Click, Inc'')とは、Googleに吸収合併されたアメリカ合衆国のインターネット広告の配信インフラ会社のことである。 == 歴史 == ダブルクリックはバナー広告(ディスプレイ広告の一種)の配信で大成功を収めた会社である。1990年代後半にダブルクリックは広告の配信技術の特許やツールを保有し、それらをDART(Dynamic Advertising Reporting & Targeting)というブランドで販売すると共に、アドネットワークの「DoubleClick Network」を運営していた。当時はWeb1.0の全盛期で、皆がポータルサイトやホームページに広告を表示して稼ごうとしていた。しかし実際には広告枠は売れ残っていて、有効活用されていなかった〔。ダブルクリックは170のウェブサイトの広告枠をまとめたアドネットワークを作って広告主を集め、広告表示を中央管理してアドサーバーから4000万人の閲覧者に向けてバナー広告を配信した。ダブルクリックのバーナー広告は、ウェブサイトのコンテンツの種類や曜日・時間帯、ユーザーのタイプに応じて自動的に切り替わり、適切な広告を表示するようになっていた。またダブルクリックのサービスは当時は珍しかったアプリケーションサービスプロバイダ型で、クライアントソフトウェアをインストールせずにウェブ上で設定操作ができた〔。検索エンジン大手のAltaVistaはダブルクリックに広告管理を任せたので〔、ダブルクリックは急成長し、株式は公募価格の2倍で売れた〔。ダブルクリックは同業他社のNetGravityを買収して、米国の有力サイトのバーナー広告配信の過半数を握り〔、約1500のウェブサイトを擁するネットワークに成長した。1996年に約2598万ドルだった売上高は、2000年には約20倍の5億561万ドルに達した〔SECのForm 10-Kより〕。 しかし一転して危機が訪れた。ダブルクリックはクッキーによって閲覧者のネット上の行動を追跡していたが、ダイレクトマーケティングに強い通販名簿会社を買収して、閲覧者の住所や氏名を把握し、ダイレクトメールを送ろうと考えた。この計画を知って激怒した消費者団体はプライバシー侵害に対して反対運動を行い、連邦取引委員会が調査に入り、全米で集団訴訟が起きた。ダブルクリックは計画を中止し、和解金を支払って、なんとかこの問題を解決したが、AltaVistaとの関係が崩れるなど大きな痛手を受けた。また同じ頃にインターネット・バブルが崩壊し、インターネット広告業界は不況に陥った。2003年の売上高は2億3134万ドルとなり、最盛期から半減した〔。 ダブルクリックはアドネットワーク事業から撤退し、広告配信ツールやインフラの提供サービスに特化することにした。ダブルクリックはASP型のメール広告配信ツールを持つFloNetworkを買収したり、マーケティングデータベースの管理・分析ツールを持つAdvanced Database Solutionsを買収したりした。2000年代前半のインターネット広告業界は、Googleが台頭して検索連動型広告がブームになっていた。ダブルクリックはPerformicsを買収して、検索エンジン最適化や成功報酬型広告向けの配信ツールを手に入れた。 その後、ダブルクリックは投資会社に買収されて、最終的にはGoogleに吸収合併された。バーナー広告などのディスプレイ広告は1990年代に流行した形態であり、検索連動型広告と比べると古臭く感じるが、2000年代後半はSNS向けの広告や動画広告が伸び始めていた。これらはディスプレイ広告の一種であり、アドエクスチェンジなどの新技術によって再生しつつあった。Googleはディスプレイ広告の技術を持っていなかったので、ダブルクリックの広告配信技術を手に入れて、成長市場に参入したようである。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ダブルクリック (企業)」の詳細全文を読む スポンサード リンク
|